『看護薬理学カンファレンス』の開催にあたって
- 日本薬理学会理事長
- 橋本 均
- 日本薬理学会企画教育委員長
- 柳田 俊彦
日本薬理学会は、看護職者を主な対象とした『看護薬理学カンファレンス』を2018年からスタートさせました。本カンファレンス開催にあたり、日本薬理学会を代表してその趣旨をご説明申し上げます。
看護における薬理学・臨床薬理学教育は、看護職の専門化・多様化・高度化に伴い、学士教育のみならず、大学院教育や継続教育においても重視されており、認定看護師教育、専門看護師教育、さらには特定行為に係る看護行為の研修においても必須となっています。それは、薬物治療においてその効果や有害事象を患者の最も近くで観察する立場にある看護職者には、患者を守る最後の砦として、薬物治療に関するより高度で幅広い知識が求められているからと言えます。その一方で、看護師の視点に基づいた薬理学の知識や経験則は体系化されているとは言いがたく、看護において薬理学教育を担う人材の育成も不十分な状況にあります。
このような社会的背景を鑑み、日本薬理学会は、看護職者を主な対象とした『看護薬理学カンファレンス』を開催することとしました。この『看護薬理学カンファレンス』は2部構成とし、第1部では「看護の様々な領域と連携した薬物治療に関するシンポジウム」を、第2部では「看護薬理学教育セミナー」を実施します。これらのシンポジウムとセミナーを通じて、看護に必要な薬理学知識に関してより一層の啓蒙活動を行うとともに、これまで薬理学にあまり接点のなかった看護の様々な領域と薬理学との橋渡し・人的交流を目指します。
看護の様々な領域における薬理学教育・研究が、看護の皆さんと共にこれから成長発展していくことを心から願っています。よろしくお願い致します。